TATSUYA KIMURA WORKS
PROFILE
木村達哉
| 1998年 | 愛知県稲沢市生まれ |
|---|---|
| 2018年 |
愛知県立芸術大学 美術学部 デザイン・工芸科 陶磁専攻入学 |
| 2019年 |
土を掘りをはじめる 山茶碗に出会う |
| 2020年 | ギャラリーHase(名古屋)初個展 |
| 2021年 | 三重県津市に地下式穴窯を掘る |
| 2022年 |
愛知県立芸術大学 美術学部 デザイン・工芸科 陶磁専攻卒業 |
| 2023年 | 現在名古屋市を拠点に制作 |
展示
| 東京 | GEISAI#21 |
|---|---|
| 東京 | うつわや涼一石 |
| 東京 | 工芸青花 |
| 京都 | 酒の器Toyoda |
| 京都 | MtK contemporary Art |
| 大阪 | アトリエヒロ |
| 福岡 | 博多阪急 |
| 石川 | かなざわ紋 |
…などにて展示
制作
大学の授業で使用していた陶芸用の土に物足りなさを感じ、自ら土を掘り始めました。 その土を焼いてみたところ、思いがけず面白い表情が現れ、「土を掘るところから制作を始める」というスタイルが自然と生まれました。 大学時代には、鎌倉時代に量産されていた雑器「山茶碗」と出会い、釉薬のない削ぎ落とされた姿に大きな影響を受けました。 その山茶碗が焼かれた穴窯というものも自分で再現したく、スコップで3日間ほど穴を掘り当時の状況に近い窯を作りました。 以後、土という素材に強くこだわりながら、制作を続けています。 やきものが作られた各時代の背景を踏まえ、自分の作品を通して素材や歴史に目を向けることを大切にしています。ただ「物」を作るのではなく、 その奥にある文化や人々の営みにも踏み込んだ、深みのあるものづくりを目指しています。
WORKS
すべての土へ 2022
土と人縄文土器や弥生土器から、現代の100円ショップで見かけるような量産の食器まで、さまざまな「土」が人の手によって焼き物となり、歴史を形づくってきました。 しかし、そこに使われてきたのは、すべての土ではありません。成形しやすく、焼成に耐えうる、いわば「焼き物に向いた土」だけが選ばれてきたのです。 形が作りにくい、焼くと崩れてしまうような土は使われず、瀬戸、常滑、有田、信楽など、良質な土の採れる土地に窯が築かれ、 多くの焼き物が生まれてきました。焼き物の産地には、必ず良い土がある。裏を返せば、産地と呼ばれなかった場所には、焼き物に向いた土がなかったのかもしれません。 そんな「使えない土」に、私は大学時代、強く惹かれました。「すべての土を焼いてみたい」と思ったのです。 実際にさまざまな土を焼いてみると、焼き物に適した土はごくわずかであることがわかりました。焼いてみると面白い表情を見せるけれど、焼き物としては不完全。そんな土たちを「使えない」として切り捨てるのではなく、 「すべての土をフラットに見てほしい」。この作品を作る一番の動機は、そこにありました。
土と形この作品の外側のボディには、平安時代から焼き物が焼かれていた大学の土地の土を使用しています。 つまり、歴史的にも「焼き物に向いた土」です。ただし、その土を精製せず、掘ったままの「原土」の状態で使いました。 内側にある壺には、その原土を精製し、不純物を取り除いて細かくした土を使っています。 焼き物に向く土も、そのままでは製品にはなりません。石や根、さまざまな不純物を取り除いて初めて、焼き物としての形を持つのです。 そして、そのボディの上に流し掛けたり、溶かしたり、貼り付けたりしているのが、焼き物には向かないとされてきた、産地以外の土です。 もし産地の土が“優等生”だとしたら、それらの土はちょっと“やんちゃ”な存在。そんな対照的な土同士を一つに融合させて、作品としました。 骨格を支える、産地の土。装飾として添えられた、産地外の土。形を作ることができた土。できなかった土。歴史を作ってきた土。見過ごされてきた土。 けれど、すべての土が、美しい。かつて誰にも見向きされなかった土も、ひとつの歴史として、焼き物という形に残していきたい。 この「すべての土へ」という想いは、すべての作品のベースになっています。
山茶碗
はじめて山茶碗を見たとき、そのシンプルさにあまり魅力を感じませんでした。しかし、土と人の関係におけるバランスの美しさを焼き物で探求していくうちに、自然と山茶碗に惹かれるようになりました。 山茶碗は、平安時代から室町時代にかけて、東海地方を中心に生産された量産雑器です。 各産地の土を用い、量産のために最低限の人の作為で作られたその器には、土と人の絶妙なバランスが感じられます。その中でも、地域や時代、土、作り手によって形が変わり、同じ寸法で作られたプロダクトでありながら、一つ一つに特徴が現れます。 無釉(釉薬がかかっていない)であるため、当時の人々の手跡や作為の痕跡も鮮明に残ります。山茶碗という器にはまだわからないことが多くありますが、それでも多くのヒントを与えてくれているように感じます。 現在、私が作る山茶碗についてですが、使用面においては、自然釉がしっかりと掛けられた天場が、山茶碗として最も適していると考えています。 私は日本各地で見つけた土や石を使い、粒子を調整したり焼成を変えたりして、焼き締まりの良い、使える山茶碗を作り上げています。シンプルでありながらも、歴史的に不明な点が多い山茶碗の魅力を、今の素材—昔使われたものから、使われていないものまで—を用いて、現代の形に昇華させていきたいと思っています。
EXHIBITION
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東京 個展 銀座黒田陶苑
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東京 個展 うつわや涼一石
CONTACT
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